まるぼ実験場

アプリの開発日記を載せるサイトでしたが、ただの技術ブログになりました。

生成AIイラストで私は絵を描く必要がなくなるのか。

ここ最近、SNS上ではAIイラストが話題だ。

筆者も最初見た時には半信半疑であったが、AIで描いたと称した美麗なイラストがXやPixivなどを浸食する勢いで出てくるようになると、これはとんでもないことが起きてるぞと。

自分も一応、推し活とかファン活動の一環で絵を描く趣味があったので、これは見過ごせないぞと。

敵を知るため……というか、現状AIイラストはどこまでやれるのか?本当に人間の絵師は要らなくなるのだろうか??ということを考えていて、

結局外から見るよりも、自分自身で触りながら考えるのが早いかと。

最近、自分のPCでも生成AIで画像を作れる環境にあったことが分かったので、
思いきって環境構築してAIイラストを作ってみたり、Copilotなどのウェブ上のサービスを試してみたり。

あと、この記事を書くにあたって、いくつかのサイトの記述も参考にさせてもらっている。

今後AIが仕事を奪い合う敵になるか、それとも良き味方になるかはまだわからないが。

できたこと→ざっくりこんなイメージ、だけでイラストをつくる

これに関しては予想通りと言うべきか。

ただもう少し思った通りに出すにはちょっとコツというか、英語やプロンプトの勉強が必要ですね。

まだ曖昧なイメージしか無いときに、これで良いやと画像を用意出来るのはイメージを模索する上ではいいかもしれないです。

逆にそれは本当に自分でイメージしていた物なのか?を考えるべきだと感じましたね。

できたこと→絵柄を維持して複数枚のイラストを出力する。表情差分を作る

できたこと→絵柄を変える

できたこと→出力したキャラクターの絵柄にある程度寄せた別キャラクターをつくる

ゲームで使われるような表情差分を作れないとかも言われていましたが、それも現在ではある程度コントロール可能な模様。

ただプロンプトで指定する関係で、微妙なニュアンスの表情をつけたい場合は難しいかと。笑い顔にも100面あるんやで。

それこそLoraで学習させるより自分で描いてしまったほうが早そう。

また似たような絵柄ばかり出てくるという問題点も、モデルを変えることで、出力される絵柄はガラッと変えることができる。

ネット上で出回っているAIイラストは、だいたい人気があるモデル使ってるから似たようなイラストばかりになっていたわけだった。

別のキャラクターを出力してそれぞれを同じ絵柄にしたい、というのも昔は難しいと言われていましたが、シード値を使うことで、絵柄を維持して別のキャラクターを生成することは(ある程度なら)制御可能な模様。

ある程度なら、なので、塗りや目の描き方など細かいとこの統一感を重視すると違和感バリバリ感じますが……

できたこと→同じ顔以外のイラストを出力する。○○風イラスト

難しいこと→トレンドから外れた顔

よく言われるのが、AIで出力したイラストは同じ顔ばかりになる、という意見。

自分で出力してみたら、あれ、案外そうは感じなかったというか。むしろ期待外れ?な出力ばかり。

ここでみんな大好き魔法の呪文。はい、みなさまご存じmasterpieceってやつですね。

この呪文がないと出力の質がガクッと落ちてしまう。というのも、このmasterpieceというのは某イラストサイトにおけるタグの一つで、その名の通り傑作とされる作品につけられていたものなんだとか。だからSNS上に上げられる絵が上手い絵の平均顔、いわゆるマスピ顔ばかりになるわけですねぇ……。

描きたいイラストの傾向が版権名とか流行の顔や塗り以外が良いって人には向かないですね。
90年代に流行っていたアニメとか思いだして頂いたら分かると思いますが、イラストにも流行廃り、イラストレーターにも絵柄の変化があるので、AIがそれについていけるのか、という点も気になるところです。

その辺は人間が学習させてあげる必要があるのだが、その一方で某サイトには、特定の絵師や版権キャラクターに寄せたモデルとか配布されてて、ほとんど無許可と思われるものばかりなのはかなり問題だと思いますね……。

できたこと→既存の絵から似た構図のイラストを作る

難しいこと→既存の絵から同じキャラの別パターンのイラストを作る

それimg2imgでできるんじゃ?と思うかもですが、案外上手くいかなかった……。

自作絵を試しにAIに読ませてそれっぽいものが出てきたら良い方で、結局ある程度のプロンプトを与えてみた結果、構図を遠目で見たらまぁ…近い…?みたいな感じのものは出力されますが。

最初は右向き白背景バストアップピンク髪のキャライラスト与えて白背景バストアップのキャラは出力されるって程度の精度。

そこに右向きピンク髪のプロンプト与えて……髪型とかポーズとか服装とか細かいところは変わってしまうので、そこも指定する必要がある。
有名な版権キャラとかならともかく、私が描きたいのがマイナーキャラか創作キャラばかりなので安定して同じキャラが出ない……おまえ!その解釈はねぇだろ!!って何度も(パソコンに向かって)ぶち切れたことか。

有名版権でも1期2期で見た目が異なるようなものだと、片方に引っ張られて再現が難しくなるキャラクターも一部には居るようです。

ただ、出力によって衣装が変わるのは創作のヒントになって中々面白いところではある。逆に考えると、要素を組み合わせて新しいキャラクターを考えるときのネタ探しに使える。

衣装デザイン考えるとき、とりあえず簡単な衣装まで描いた状態でAIガチャを回して、出てきた中から良いなぁと思う要素を入れて改めて描き直してみたくなったりする。

ただ、これには後述の注意点もあり……

難しいこと→特定の規格に沿った画像を出力する

私が思っていた画像生成AIの使い方として、ゲーム製作で使うマップチップのドット絵を出力して楽ができないかな~なんて考えたのですが。
後で有償素材なり自作素材なりに差し替えるにしても、試しに作る程度ならAIに適当に作ってもらったやつで良いかなと。

でもRPGツクールのマップチップとかって特定の規格に沿って並んでいるでしょ、それをプロンプトで指定するのは無理があった。サイズ指定だけじゃなく、マップチップ同士の繋がり、必要なパーツの種類みたいなのも考慮しなきゃならないし……

あとドット絵なのにめちゃくちゃ違和感ある雰囲気(何とは言わない)になったりとか。どことなく中華ゲーっぽい雰囲気になったりとか。

部分部分では使えそうな所もありますが、結構手を加えないと使い物にならない感じで、それを資料として横に置いて見ながらもう一から作ってしまった方が早い気が……

なので、素材作成の参考資料という面では使えそうですが、前述したように雰囲気の統一みたいなのは難しいので、それをそのまま使うのは難しい感じですね。

参考:シルバーセカンド開発日誌 画像生成AIをゲーム開発に活かしたい!

難しいこと→極端なイラスト

過去の漫画をAIでリバイバルした例。

【悲報】エイケン、AIによってリメイクされて炎上【AI絵師 / 松山せいじ】 - Togetter [トゥギャッター]

批判的意見として、(どことは言わないが)サイズが大人しい、と言われているのが興味深い。

AIって仕組み上、平均化されたような出力になるので、こういった極端なデフォルメというか、特定の主張を強調させたい、みたいなのは難しいのではないかと。

作者のセンスが爆発してるタイプのギャグ漫画とかもAIには難しそうですね。AIギャグ漫画もそれはそれで別ジャンルとしてウケそうではある。

……というわけでみんな!心に忠実になろうぜ!!

難しいこと→複雑なデザインの衣装

複雑になればなるほど破綻しやすくなっていくので。

とくに二次創作とかだと、キャラクター衣装の違いは気になる人も多いでしょう。

ある程度は学習で克服できそうですが、複雑×マイナーとかそもそも創作キャラみたいな状況だと結局自分で以下略。

あと一枚絵単品なら良いけど、立体的な把握と状況の説明が必要なバトル漫画とかも難しいんじゃないかなぁ。
3Dモデルで位置関係とか指定できる技術はあるようですが、それにも見栄えを良くするための嘘パースみたいな単純にパラメータ化できないような表現が使われていたりしますし。

難しいこと→現実にないもの、そもそもリリース前のもの

AIには当然ながら、学習元の画像が存在します。

なので、現実にないもの、ファンタジーのものはAIが表現するのが少し苦手だったりします。

またたとえばリリース前の学園モノソシャゲとかで、制服のデザイン画は完成しているからキャラクターに着せたイラストをこれから描いていって欲しいって依頼があったとき、AIではどうしようもありません。

その衣装のデータがAIにはないし、ネット上にもそんなイラストは存在しないから学習しようがないのですね。

AIで効率化しようにも、最初に何枚かは、キャラクターにその衣装を着せたイラストを描く人間が居なければ学習素材もできない。

……だれか、私の脳内妄想を具現化してくれないかなぁ……。

自分が夢の中で見た実在しない場所の景色を他人になんとかして見せたい、と思っても結局自分で形にするしかないのである……。

難しいもの→風刺画、タイムリーなこと、新常識

新聞の政治欄に載っている風刺画のようなものは難しいでしょう。

人物の特徴については学習できても、一週間でなにが起きるか分かりませんから……。あれもデフォルメ表現が強いですからね。

今日公開されたソシャゲの新キャラクター、新シナリオの感想なんてものもすぐには難しいでしょう。

明日には新しいファッションが流行っているかもしれません。

スクール水着でも、最近はセパレート型が主流になっているそうです。

絵柄の変化もそうですが、倫理観も時代や国によって移り変わりがあるものです。

現状でも一部の海外では一部のプロンプトの規制がある例が存在するため、AIが出力する表現が不適切とされる可能性も考えられる。

触ってて思った問題点

学習元、データセットの出所は知りたい。

単純に現在問題とされている著作権の問題が気になるのもありますが、

ある特徴を持つ絵を出力するようAIに指示すると、具体的な作品名を挙げてないにもかかわらず、既存の版権にそっくりのキャラクターや意匠を出力してくることがあることを何度か確認しました。

あるプロンプト回してて似たような絵柄が出てくるとなんかめちゃくちゃ不安になる。既存の絵の構図やキャラクターなどをそのまま出していないか、意図せず剽窃と近いことになってしまうのではないかとヒヤヒヤする。

そしてそれがどちゃクソ好みの絵柄だったりすると、
「元絵とそれを描いた絵師を教えてくれないだろうか……マジで……」って気分になってしまうw

個人的見解→何が欲しいのか、を見極められるか

AI技術は進化を続けており、日に日に新しい技術が誕生しています。このためにStable Diffisionの環境を作った所なのに、FLUX.1ってなに……

表情差分を作るのも、少し前までは難しかったことですが、今ではもうすでに解決する技術があったりするので、もうすぐ近い未来にはこの記事の時点では難しいことに挙げた点も解決されているのかもしれません。

今後進化した技術に触れるためには、非常に高いPCスペックが必要(おもに高額なグラフィックボード)になるので、一般人には得体の知れない世界になってしまいそうで怖いです。逆に低スペックでも動くようになってくるかもしれませんが。

現状、個人の環境としては、絵は完全にAIに任せて自分はコーディングに集中するぞーなんて未来はまだむずかしいようで。

出力されたものをそのまま使うのは質の面でも著作権的にもまだまだ問題が多いですが、この衣装やポーズ良いな、と思ったものを模写などイラストの練習に用いたり、加筆修正して仕上げてみるとか……。いや、そこまでするくらいなら構図だけ見て一から描いたほうが早いか。(出来ることなら他人のソースコード読みたくないタイプの人間)

また、外には出さない仮素材を作ったりといったことには活用出来そうです。

あとまぁ、AI絵の癖、出来ないことみたいなのも分かってくるので、AI絵の特性を知ることでAI絵かどうかを判別するのに役立つと思う。生成AI許さないタイプの人でも実際に触ってみる価値はあると思いますよ。

あとどちらかというと、私は絵が欲しいときにはどのようなモノが欲しいかまではっきりしている状況の方が多いので、AIの作品をそのまま出すことはないかなぁ……と触りながら思いました。

生成AIが出してくる絵柄はとても綺麗だけど解釈違いすぎて……自分の絵柄の方が下手でもまだ好きかもなぁ……と少し前向きになれたかも。

そして”使い手側の問題”も多く指摘されていますね。

自分としては、もろもろの問題が解決するまでは資料集めの様な個人的利用、補助となる範囲での利用に留めておきたいと思っています。

とりあえずデータセット問題はなんとかしてほしい

あとは仕組み上、意図せず剽窃になってしまう可能性が有るという点で、AIの作品をそのまま使うのは怖いところがあると感じた。

それを解決するには、やっぱり学習元をはっきりさせて欲しいなぁと……

 

ちなみにもし仮に自分の絵をAIに学習させて欲しいと言われたら、ちゃんと頼まれれば私ならOKしてしまうかな。

ただその時は、どのようなアルゴリズムでどのように私の絵柄を再現しているのか、までは教えて欲しい。

個人的な技術的興味があるのと、学習された内容から私の“思想“がどう滲み出てくるのか、気にはなりますから。